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横須賀宣言
横須賀から発信! 「核の傘はいらない、はばたけ平和憲法」
広島、長崎の被爆から61年を迎えた今年9月、国民に痛みを押しつけ続けた小泉政権を引き継ぐ形で、安倍晋三内閣が誕生しました。安倍首相は、所信表明演説の中で、「集団的自衛権」の研究を謳い、米国とともに海外で戦争をする国造りに積極的に踏み込むことを決意し、その為には、5年後には新憲法を制定する、その理由として、現憲法は占領下に出来た憲法で60年を経た今、古くなったと言い切りました。現憲法は第二次世界大戦でアジア諸国、自国民に多大な犠牲を強いた反省の上にポツダム宣言を純粋に履行するために世界への約束、戦後の日本の再出発を世界に宣言したものです。その中でも取り分け憲法9条は、世界に誇れる、平和宣言として軍事力の放棄、国の交戦権の放棄を世界に宣言したものです。戦後まもなく、朝鮮戦争を契機に、“再軍備”が行われ、憲法9条、第2項は骨抜きにされてきましたが、戦後61年海外で他国の人々を殺さないで済んできたのは、この平和憲法9条があったればこそです。この9条を改定して、「集団的自衛権」として海外で米国とともに戦争が出来る国にしようとしています。戦争して外国の人々を殺戮して、それでも“美しい国、日本”と言えるでしょうか?
この横須賀に原子力空母が配置されようとしています。原子力空母はまさに核施設そのものです。最近原子力潜水艦「ホノルル」の出港のあとの海水を調査したところ、自然界には存在しないコバルト58とコバルト60が検出されたと文科省は発表しました。米国の原子力艦船は自然界に影響を与えるような放射性廃棄物はなく安全であると米国政府は報告して来ましたが、それが根拠の無いものであることが証明されました。日米両政府が歩調をあわせてその後の調査は打ち切られました。その上、在日米軍の再編成、司令部の座間移転、沖縄海兵隊のグアム移転などに多額の国費を使うことなど、それでも“美しい国、日本”と言えるでしょうか?
原爆症認定集団訴訟の広島、大阪裁判の1審が全面勝利しましたが、小泉前首相の広島、長崎での言葉とは裏腹に、被告の国は控訴しております。いつまで被爆者を悲しませるのでしょうか。被爆者の平均年齢は74歳と言われています。裁判を長引かせ、原告が居なくなるのを待っているかのごとくです。この冷たい被爆行政を続けて、それでも“美しい国、日本”と言えるでしょうか?
「第17回つどいIN横須賀」に参加した私たちは、核兵器廃絶を求め、平和憲法を守り他国と軍事的には争わない、米国の原子力空母の横須賀母港化をしない、被爆行政を真に心が通った暖かいものにすることを日本国政府に要請するものです。北朝鮮の周辺諸国、国連安保理の要請を無視する形でおこなった「核実験」に、私たちは、核戦争防止、核兵器廃絶という観点から、強く抗議します。あわせて、核保有国のNPT批准・遵守を強く求めるものです。
来年つどいは20周年を迎えます。私たちは世界の反核医師・医学者と連帯し、核戦争反対・核兵器廃絶の運動にいっそう力を尽くしていくことを宣言します。
2006年10月22日
第17回核戦争に反対し、核兵器廃絶を求める医師・医学者のつどいIN横須賀